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東京地方裁判所 平成10年(ワ)9314号 判決 1999年8月20日

原告

纐纈喜久男

外一四名

右原告ら訴訟代理人弁護士

奥川貴弥

川口里香

右奥川貴弥訴訟復代理人兼亡森戸貞男訴訟承継人原告ら訴訟代理人弁護士

宇佐見郁

被告

株式会社中根製作所

右代表者代表取締役

中根博

右訴訟代理人弁護士

高井伸夫

廣上精一

主文

一  被告は、原告纐纈喜久男に対し、金二九四万三六八四円及び内金一一八万九六八四円に対する平成八年一二月二六日から支払済みまで年一割四分六厘、内金一一一万五〇〇〇円に対する平成九年一月一〇日から支払済みまで年六分、内金六三万九〇〇〇円に対する平成一〇年三月四日から支払済みまで年五分の各割合による金員を支払え。

二  被告は、原告阿久津春男に対し、金二九九万六八九八円及び内金一一五万二八九八円に対する平成八年一二月二九日から支払済みまで年一割四分六厘、内金一二三万八〇〇〇円に対する平成九年一月一〇日から支払済みまで年六分、内金六〇万六〇〇〇円に対する平成一〇年三月四日から支払済みまで年五分の各割合による金員を支払え。

三  被告は、原告田崎俊一に対し、金七万円及びこれに対する平成八年一二月二九日から支払済みまで年一割四分六厘の割合による金員を支払え。

四  被告は、原告杵鞭喜一に対し、金二一二万三六四八円及び内金八六万六六四八円に対する平成八年一二月二九日から支払済みまで年一割四分六厘、内金七九万二〇〇〇円に対する平成九年一月一〇日から支払済みまで年六分、内金四六万五〇〇〇円に対する平成一〇年三月四日から支払済みまで年五分の各割合による金員を支払え。

五  被告は、原告大出千代吉に対し、金一三六万六九一八円及び内金七〇万九四三八円に対する平成八年一二月二九日から支払済みまで年一割四分六厘、内金四九万円に対する平成九年一月一〇日から支払済みまで年六分、内金一六万七四八〇円に対する平成一〇年三月四日から支払済みまで年五分の各割合による金員を支払え。

六  被告は、原告塩沢奨に対し、金一三七万二一〇九円及び内金六九万二二一九円に対する平成八年一二月二九日から支払済みまで年一割四分六厘、内金五一万円に対する平成九年一月一〇日から支払済みまで年六分、内金一六万九八九〇円に対する平成一〇年三月四日から支払済みまで年五分の各割合による金員を支払え。

七  被告は、原告森谷幸夫に対し、金一一〇万〇五一三円及び内金五四万三五一三円に対する平成八年一二月二九日から支払済みまで年一割四分六厘、内金三八万三〇〇〇円に対する平成九年一月一〇日から支払済みまで年六分、内金一七万四〇〇〇円に対する平成一〇年三月四日から支払済みまで年五分の各割合による金員を支払え。

八  被告は、亡森戸貞男訴訟承継人原告森戸信子に対し、金七五万九八五九円及び内金三七万四四五九円に対する平成九年一月一日から支払済みまで年一割四分六厘、内金二三万三〇〇〇円に対する平成八年一二月二七日から支払済みまで年六分、内金一五万二四〇〇円に対する平成一〇年三月四日から支払済みまで年五分の各割合による金員を支払え。

九  被告は、亡森戸貞男訴訟承継人原告森戸雅男に対し、金三七万九九三〇円及び内金一八万七二三〇円に対する平成九年一月一日から支払済みまで年一割四分六厘、内金一一万六五〇〇円に対する平成八年一二月二七日から支払済みまで年六分、内金七万六二〇〇円に対する平成一〇年三月四日から支払済みまで年五分の各割合による金員を支払え。

一〇  被告は、亡森戸貞男訴訟承継人原告半田みゆきに対し、金三七万九九三〇円及び内金一八万七二三〇円に対する平成九年一月一日から支払済みまで年一割四分六厘、内金一一万六五〇〇円に対する平成八年一二月二七日から支払済みまで年六分、内金七万六二〇〇円に対する平成一〇年三月四日から支払済みまで年五分の各割合による金員を支払え。

一一  被告は、原告木村清司に対し、金二四九万九四三六円及び内金一〇四万九四三六円に対する平成八年一二月二九日から支払済みまで年一割四分六厘、内金八七万四〇〇〇円に対する平成九年一月一〇日から支払済みまで年六分、内金五七万六〇〇〇円に対する平成一〇年三月四日から支払済みまで年五分の各割合による金員を支払え。

一二  被告は、原告木村勝雄に対し、金八八万六二六六円及び内金三六万八二六六円に対する平成九年一月一日から支払済みまで年一割四分六厘、内金二六万九〇〇〇円に対する平成九年一月一〇日から支払済みまで年六分、内金二四万九〇〇〇円に対する平成一〇年三月四日から支払済みまで年五分の各割合による金員を支払え。

一三  被告は、原告清水ヨシ子に対し、金一〇九万八八三九円及び内金五〇万一八三九円に対する平成八年一二月二九日から支払済みまで年一割四分六厘、内金三五万九〇〇〇円に対する平成九年一月一〇日から支払済みまで年六分、内金二三万八〇〇〇円に対する平成一〇年三月四日から支払済みまで年五分の各割合による金員を支払え。

一四  被告は、原告山井利江に対し、金八四万七六七三円及び内金三一万六三八三円に対する平成八年一〇月一日から支払済みまで年一割四分六厘、内金三一万六〇〇〇円に対する平成八年九月二八日から支払済みまで年六分、内金二一万五二九〇円に対する平成一〇年三月四日から支払済みまで年五分の各割合による金員を支払え。

一五  被告は、原告中村カツに対し、金一二八万〇二〇〇円及び内金一一四万九六〇〇円に対する平成一〇年一月一日から支払済みまで年一割四分六厘、内金一一万七〇〇〇円に対する平成九年一二月二六日から支払済みまで年六分、内金一万三六〇〇円に対する平成一〇年三月四日から支払済みまで年五分の各割合による金員を支払え。

一六  原告田崎俊一を除く原告ら及び亡森戸貞男訴訟承継人原告らのその余の請求を棄却する。

一七  訴訟費用は被告の負担とする。

一八  この判決は、第一ないし第一五項、第一七項に限り、仮に執行することができる。

事実及び理由

第一  請求

主文中「年五分」とあるのが「年六分」であることを除き、主文第一ないし第一五項と同旨

第二  事案の概要

本件は、被告の元従業員であった原告らが、被告の行った月額給与の基本給の減額を内容とする給与改定の効力を争い、月額給与並びに、基本給を基礎として算定される賞与、退職金及び雇用保険金のうち、給与の改定によって減少した部分について、被告に対し支払を求める事案である。

一  当事者間に争いのない事実及び証拠によって容易に認定できる事実

1  被告は、各種ミシン部品製造販売等を目的とする株式会社である。

亡森戸貞男(以下「亡森戸」という。)訴訟承継人原告らを除く原告ら(以下「原告ら」という。)及び亡森戸は、別表(一)入社年月日欄記載の日にそれぞれ被告に入社し、別表(一)退職年月日欄記載の日にそれぞれ被告を退職し、別表(二)1、2、4ないし13の(C)退職金欄記載の退職金を別表(一)退職金支給日記載の日受領したものである。

原告阿久津春男、同木村清司、同木村勝雄、同田崎俊一(以下「原告田崎」という。)を除く原告ら及び亡森戸は、被告を退職するまで、ゼンキン連合栃木中根製作所労働組合(以下「労働組合」という。)に所属していた。

2  原告ら及び亡森戸の月額給与は、平成八年三月分まで別表(二)1ないし13の各(A)の平成八年支給済額欄記載の額であり、毎月末日締め翌月五日払いであった。

その後原告ら及び亡森戸の各退職日まで、被告から原告ら及び亡森戸に支給された給与は、別表(二)1ないし13の(A)の支給済額欄記載のとおりである。また、被告から原告田崎及び同中村カツを除く原告ら及び亡森戸に対し、平成八年七月五日、同年一二月一二日にそれぞれ支給された賞与は、別表(二)1、2、4ないし12の(B)の支給済額欄記載のとおりであり、原告中村カツに対し、平成八年七月五日、同年一二月一二日、平成九年七月八日、同年一二月五日にそれぞれ支給された賞与は、別表(二)B13支給済額欄記載のとおりである。

3  被告は、労働組合との労働協約(以下「本件労働協約」という。)を締結したとして、平成八年四月分から、五三歳以上の従業員を対象とする給与改定を行った。

本件労働協約は、次のとおりである(乙一)。

第一条(目的)

本協定は、正社員のうち満年令五三才以上の者の給与についてべース・ダウン、昇給に関する賃金制度について定める。

第二条(対象者)

第一項 対象者は正社員のうち満年令で五三才を越えている者とし、今後、第三条第一項に定める年令に達した者は、その到達した月から適用される。

第二項 平成八年四月一日現在において満年令五三才(昭和一八年四月一日以前の生まれ)を越えている者は、平成八年四月分の給与(五月支給分)からその適用を受ける。

第三条(基本給の減額)

第一項 第二条第一項の該当者は、次の年令区分により基本給の減額をおこなう。

① 満年令五三才到達時に基本給の五パーセントを減額する。

② 更に、満年令五五才到達時に基本給の一五パーセントを減額する。

③ 更に、満年令五八才到達時に基本給の三パーセントを減額する。

第二項 第二条第二項の該当者は、平成八年四月一日現在で達している満年令に応じて、前項「①」または「①+②」或いは「①+②+③」の適用を受ける。

第四条(昇給)

上記第三条に係わらず、個人の再評価により基本給のプラス調整(昇給)をおこなうことがある。但し、満年令五八才以上の者については、プラス調整の対象外とする。

第五条(実施日)

本協定は、平成八年四月一日より実施する。

4  さらに、被告は、平成八年一二月分から、全従業員を対象として、給与の見直しを行った結果、原告ら及び亡森戸の給与は減額された(以下「本件給与減額措置」という。)。

5  被告の給与・賞与規程(乙三)には、次のとおり規定されている。

第二五条(支給額の決定)

賞与支給額は、その期の会社業績等を勘案して、労働者の過半数を代表する労働組合と協議して決定する。

第二七条(査定)

賞与支給額の査定は、対象期間内の個人の能力、勤怠、作業内容、貢献度等を勘案して会社が行う。

6  亡森戸は平成一一年三月一日に死亡し、その妻である亡森戸訴訟承継人原告森戸信子、その子である亡森戸訴訟承継人原告森戸雅男及び同半田みゆきが亡森戸を相続した。

二  争点

1  被告の行った給与改定の効力(本件労働協約の効力)

(一) 原告ら及び亡森戸承継人原告らの主張

(1) 労働組合規約一〇条、一一条、一三条3によれば、労働協約の締結と改廃については、全組合員によって構成され、最高の決議機関である大会の附議事項とされているところ、本件労働協約の締結に先立って、大会に附議されておらず、規約に違反して締結されたものであるから無効である。

(2) 本件労働協約によれば、五三歳以上の従業員は、給与を最高二三パーセントも減額されるのであり、本件労働協約は、特定のまたは一部の組合員をことさら不利益に取り扱うことを目的として締結されたのであるから、その内容は合理性を欠き無効である。

また、被告は、給与の改定の理由を経営悪化であると主張するが、被告の支払能力のゆとりの有無、将来の潜在的な支払能力に照らせば、被告の財務内容は健全であり、給与減額の必要性はなく、この点からも本件労働協約の内容は合理性を欠くものであるから無効である。

(3) 原告阿久津春男、同木村清司、同木村勝雄、同田崎は、労働組合員ではないから、本件労働協約の適用は受けない。

仮に労働協約について非組合員に対する規範的効力が認められるとしても、本件労働協約のように、給与の著しい減額、給与を基礎として算定される賞与及び退職金の減額といった著しく不合理であると認められる特段の事情がある場合は、その規範的効力は右原告ら及び亡森戸には及ばないというべきである。

(二) 被告の主張

(1) 本件労働協約の締結について、大会に附議されなかったことは認める。

しかし、労働組合において、結成当初の昭和四八年ころを除いて臨時組合大会が開催されたことはなく、代議員会を開催し、職場会での意見聴取を行った上、労働協約を締結してきた。そして、本件労働協約の締結に際しても、代議員会が開催され、職場会の意見聴取をし、大多数の賛同を得て締結に至っている上、平成八年一一月一日に開催された定期大会において報告され、承認されているものであり、手続に瑕疵はない。

(2) 平成八年一月の被告の役員会議等において、ミシン業界の不振により受注の減少が予想されるため、人員削減等の雇用調整または賃下げを含む給与改定を行わなければ赤字に転落する旨の報告があったため、被告が、同年四月、労働組合の執行部に対し、給与水準の高い五三歳以上の従業員の賃金体系を見直すことを提案したところ、労働組合は、各職場会を開催して検討した結果を踏まえ、組合大会に次ぐ決議機関である代議員会(労働組合の代議員及び執行委員によって構成される。)で決議し、被告との間で本件労働協約締結に至ったものである。このような経緯に照らせば、本件労働協約は特定のまたは一部の組合員をことさら不利益に扱うことを目的として締結されたものではないから有効である。

(3) 原告阿久津春男、同木村清司、同木村勝雄、同田崎俊一が、労働組合員ではないことは認める。

しかし、本件労働協約は、労働組合法一七条に基づき、労働組合員でない者に対しても、規範的効力を有し、適用されるものと解するべきである。

2  本件給与減額措置の効力

(一) 原告ら及び亡森戸承継人原告らの主張

本件給与減額措置は、基準もあいまいなまま、被告によって一方的に行われたものであり、原告ら及び亡森戸がこれに同意したことはない。

なお、被告は、原告ら及び亡森戸が異議を述べなかったことをもって、黙示の同意があった旨主張するが、異議を述べなかったからといって、それを同意とみることはできない。

(二) 被告の主張

平成八年八月になっても被告の受注高は回復せず、平成八年八月三一日決算の四四期の売上高が落ち込んだため、被告は、人員削減を行うか、賃下げを含むさらなる給与体系の見直しを行うかの選択を迫られ、全従業員に対するアンケート調査、労働組合との交渉の結果、労働組合から大方の賛同を得られたが、賃金減額措置の対象となる従業員の個別的な同意を得て欲しいとの回答を得たため、平成八年一二月六日支給の給与袋に通知文を同封して給与を支給したが、原告ら及び亡森戸が異議を述べたことはなかったのであり、少なくとも黙示の合意が認められる。

なお、減額の基準は、県の平均賃金を参考に、各層ごとに標準者を設定し、その標準者を基準にして過去二年の人事考課をもとに決定されたものであり、客観性及び合理性を有する。

第三  当裁判所の判断

一  証拠によれば、次の事実が認められ(争いのない事実を含む。)、右証拠中これに反する部分は採用しない。

1  被告の経営状況等

(一) 被告は、いわゆる機械部品メーカーで、その主力は工業ミシン部品の製造であり(売上の七割以上を占め、その他は自動車部品等である。)、工業ミシンの部品メーカーとしては、日本でトップのシェアを有している。しかし、日本のミシン業界は、国内の不況、部品の海外調達の拡大、中国、台湾等アジア諸国の躍進による低価格競争の激化という状況にあり、被告においても受注は三九期(平成二年九月一日から平成三年八月三一日まで)をピークに減少傾向にあり、平成七年六月から八月までの三か月間の月平均受注額は二億〇一二六万円であったのが、同年九月一一月までの三か月間の月平均受注額は一億六〇九二万円と約二〇パーセント減少し、さらに同年一二月から平成八年二月までの三か月間の月平均受注額は約一億九〇〇〇万円で前年同期と比較すると31.15パーセントの減少となり、営業利益も右三か月間で四二七一万円の赤字となった。こうした状況において、当時、四三期(平成六年九月一日から平成七年八月三一日まで)の月平均受注額は二億七〇〇〇万円であったのが、四四期(平成七年九月一日から平成八年八月三一日まで)の月平均受注額が二億二〇〇〇万円を下回ることが予想される事態となった。

(乙一一、乙一五、証人小倉正安)

(二) 被告の四四期決算は、最終的に営業利益は三三七六万円の赤字、経常利益四五四七万円、税引後利益で二八五二万円のそれぞれ黒字となった。経常利益が黒字となったのは、子会社に対する賃貸金収入等が四六二四万円、雑収入が四一一七万円あったためである。また、当時の被告の資産には、預金が六億六五二九万円、建物二億五七九五万円、土地一億二九二二万円が含まれ、借入金は、短期一五八三万円、長期三億五二〇〇万円である。

その後、平成八年九月以降も月平均の受注額は二億〇七〇〇万円程度で推移したが、四五期(平成八年九月一日から平成九年八月三一日まで)は、ミシン部品については四四期をわずかに下回ったものの、自動車部品、電動工具他の売上高が増加し、売上高全体では四四期を上回り、営業利益一億四一八二万円、経常利益二億〇六二四万円、税引後利益八九八八万円となった。また、資産については、預金が七億七八九三万円、建物二億四一五九万円、土地一億二九二二万円、短期借入金一五八三万円、長期借入金三億五〇〇〇万円であった。

なお、一般管理費のうち、人件費については、四四期は合計二億二九一四万円であったのが、四五期は一億七五二八万円となっており、そのうち、役員報酬は、四四期が五五二一万円、四五期が五四二九万円、給料手当は、四四期が一億三一二三万円、四五期が八五〇二万円となっている。

(乙七、乙一一、乙一三ないし乙一六、証人小倉正安)

2  本件労働協約締結に至る経緯

(一) 被告は、受注の減少傾向が続き、それとともに営業利益も赤字が続いていたこと、被告は、人件費の経費全体に占める割合が約七〇パーセントに及んでいることなどから、雇用調整、人件費の見直しが必要であるとの認識のもとに平成七年一二月から労使間で検討会議を開催した。出席者は、当時被告の会長であった中根博(以下「会長」という。)、小倉正安(以下「小倉」という。)を含む役員及び顧問等、労働組合は執行委員長である関口利雄(以下「関口」という。)、副委員長、書記長のいわゆる三役であった。検討会議では、人件費の見直しを行うことなどが話し合われ、被告においては、従業員の約三五パーセントを占める五〇歳以上の高齢者の基本給の水準が県製造業の平均と比較して高かったことから、高齢者の給与を見直す必要があるとの意見が出された。平成八年三月五日の検討会議では、被告から、経費に占める人件費の割合が平成八年一月時点で74.2パーセントに達し、人件費の見直しができない場合は人員削減の必要がある旨説明があり、同年三月七日に全従業員に対する説明会を実施することが決定された。

平成八年三月七日、被告は、全従業員に対する説明会を開催し、被告の経営状況及び雇用調整か、給与の見直しの必要があることを説明した。

同年四月六日、賃金改定会議が開催された。出席者は、被告の会長を含む役員、顧問等(原告田崎は、当時労務総括グループ長であり、賃金改定会議に出席した。)ら及び労働組合の三役のほか労働組合の前執行委員長であった原告纐纈喜久男(以下「原告纐纈」という。)、前書記長も含まれていた。賃金改定会議では、各人が意見を述べ、被告からはべースアップも含め同業他社の水準を参考に世間並みに給与を改定する方針が説明された。右会議では、各人から賃上げは行わない、年功序列型の賃金を見直し、一定年齢から賃金上昇を下降するように調整する、役職定年制を設けて役職手当分を昇給原資に充てる、希望退職者を募って人員削減を行う、若い人材には賃上げが必要、高齢者の賃金が相対的に高いので、それを見直すなどの様々な意見が出され、原告纐纈は、高齢者の賃金を若干削って、若年層の賃金を上げてはどうかとの意見を述べた。これらの意見に対し、会長から、若年層の退職を防止するため、高齢者の賃金を減額して若年層の昇給を行う、高齢者の賃金減額の割合は、五三歳で五パーセント、五五歳で一五パーセント、五八歳で三パーセントとの提案がなされた。

その後、当時被告の社長であった中根八郎は、平成八年四月二三日に開催された全従業員に対する説明会で、被告の経営状況、平成八年四月分から役員報酬の減額を実施すること、雇用維持を優先して賃金の改定を行いたいという方針であること、同月六日の賃金改定会議における会長の提案等の説明を行った。

同月二五日、被告と労働組合との間で高齢者を対象とする給与改定及び従業員のべースアップについて団体交渉を行った。

(甲四、甲五、乙四の八、九、乙一一、乙一二、証人関口、同小倉、原告田崎及び同纐纈各本人)

(二) ところで、平成八年四月からのべースアップについては、平成八年三月八日に団体交渉が行われ、労働組合から平均一万円との要求が出された。これに対し、被告は、同年四月一六日、平成八年四月一日現在五二歳以下の従業員について平均五六〇〇円のベースアップとの回答をした。これを受けて労働組合は、各職場から従業員一〇人に一人の割合で選出された代議員と労働組合執行部によって構成される代議員会(ただし、春闘であったので闘争委員会と称された。)を開催し、執行部が五二歳以下の従業員のべースアップ五六〇〇円、五三歳以上の従業員については、被告は検討中であるとの報告をした。各代議員は、それを各職場に持帰り職場内での検討を行い、同月二二日に開催された五二歳以下の従業員のべースアップについては、被告の回答額で妥協することを決定した。

その後、同月二三日の被告の五三歳以上の従業員を対象とする給与改定案について、同月二五日代議員会が開催された。その際、執行部から資料をもとに補足説明が行われ、各職場で説明、意見聴取を行うこととなり、同月二六日、各職場で職場会が開催され、同月二七日に開催された代議員会(なお、甲八には、同月二七日に代議員会は開催されていない旨の記載があるが、当時青木幸一(以下「青木」という。)は代議員ではなかったこと、乙一六、乙一七の一、二、乙一八ないし乙三五に照らし、右記載部分は採用できない。)では、やむをえないとの意見が約七割であったことから、最終的に執行部が本件労働協約を締結することを決定し、同日、「五三才以上の賃金制度に関する協定書」(乙一)が作成された。

本件労働協約締結前には、労働組合の臨時大会は開催されておらず、本件労働協約の締結は、同年一一月一日に開催された定期大会で報告事項として他の案件とともに一括報告された。

(甲七、乙六、乙一一、乙一二、乙一六、乙一七の一、二、乙一八ないし乙三五、証人青木、同関口、同小倉)

3  労働組合の概要等

労働組合は、昭和四八年ころ結成され、昭和五〇年ころから平成五年まで原告纐纈が執行委員長であったが、平成五年一〇月関口が執行委員長に就任した。関口は、平成九年まで執行委員長であったが、同年の選挙で落選し、平成一〇年五月三一日、被告の取締役に就任することになったため、労働組合を脱退した。

本件労働協約締結当時、被告の従業員約二四〇名に対し、組合員は約二〇〇名であり、従業員の約八割が組合員であった。

労働協約の締結については、労働組合規約一三条3で大会附議事項とされていたが、昭和五〇年ころを最後に大会は開催されておらず、代議員会を召集して説明会を行った後、各職場で職場会を開催し、説明、意見聴取を行い、その後の代議員会で職場会の意見をまとめ、多数決で決議し、最終的に執行部が決定するという手続が採用されてきた。

(乙一二、証人関口、原告纐纈本人)

4  本件給与減額措置に至る経緯

(一) 本件労働協約締結後も被告の受注額は回復せず、営業利益の赤字も継続したため、平成八年一〇月一四日、労使間で対策会議が開催された。出席者は、被告の役員、顧問等と労働組合の三役であった。右会議で、被告は、経営状況、役員報酬について同年九月から減額を実施していること、再度人件費見直しの必要があることを説明し、全従業員に対する説明会を開催することを決定した。

平成八年一一月一二日、被告は、全従業員に対し、被告の経営状況、それからすれば、雇用を維持するならば、給与体系を大幅に変更し、年功序列型及び終身雇用から職能主義、能率主義へと変更しなければならないこと、給与の見直しができないなら、人員削減を行わなければならないこと、どちらもできなければ、被告を解散するしかないことなどを説明した。

同月一三日、被告の説明について労使の討議が行われたが、そこでは、人員削減ではなく、人件費の見直しを行うべきであるとの意見が大勢を占めた。

同月一四日、被告は全従業員二三二名に対し、被告の同月一二日の説明に関し、無記名アンケート(乙五)を実施した。回収したアンケートは一六七件で、そのうち給与の見直しについては、賛成及び概ね賛成が一一八件と約七〇パーセントを占めた。

同月一八日、被告は、労働組合の三役や原告田崎を含む各グループ長に対し、資料を示して説明を行い、同月二七日、労働組合に対しても、その要請に応じて、資料を示した上、被告の賃金改定案を説明した。その内容は、県内の同規模製造業の年齢別平均賃金を参考とすること、賃金査定委員会を設置し、各従業員の能力、成果、体力等、それまでの考課査定を基礎として各年齢層の標準者を設定し、その標準者と相対比較を行い、各従業員の基本給を決定すること、改定後の基本給については、平成八年一一月分の給料袋に通知書(乙二)を同封することなどを説明した。

同月二八日、被告は、関口委員長に対し、給与減額措置に関し、労働協約の締結を要請したが、関口委員長は、賃下げのことであるので、労働協約の締結はできない、被告と従業員の個人の契約ということで行って欲しいと回答した。

(甲三、乙二、乙五、乙九の一ないし九、乙一〇ないし乙一二、証人関口、同小倉)

(二) 同月一四日に実施された被告の説明会を受けて、労働組合は、同月一五日に代議員会を開催し、同月一九日に開催される代議員会までに職場での意見聴取を行うことになった。

同月一九日に開催された代議員会で、各職場の意見が報告されたが、概ね賛成から明確な反対まで種々の意見が出され、まとまらなかった。

そこで、労働組合は、被告に対し、説明を求め、同月二七日、被告から労働組合執行部に対し、説明が行われた。その内容は、前記(一)記載のほか、給与の見直しによって給与が減額される従業員は一四二名であること、月額一万円から八万円の減額となり、平均月額三万円の減額であることなどであった。労働組合は、その席で、各従業員に対する通知の際には、被告に対し、意見を述べられるようにして欲しいと依頼した。

平成八年一二月三日、代議員会が開催されたが、そこでの代議員の報告によれば、各職場で多くの反対意見が出されたということであった。そこで、労働組合の執行委員長であった関口は、被告に対し、再考を求めたが、拒否された。

(乙一二、証人関口)

(三) 結局、平成八年一二月六日に支給された給与から被告は、本件給与減額措置を実施し、その際、給料袋に改定後の基本給を明示し、意見があれば被告に申出て欲しい旨記載した通知書(乙二)を同封した。しかし、原告らは特段これに異議を述べたことはなかった。また、同月中に二三名の従業員が被告を退職した。

(乙一一、乙一二、証人小倉、同関口、原告田崎及び同纐纈各本人)

二 本件労働協約の効力について

1 前記一3によれば、労働組合規約一三条3で労働協約の締結は大会附議事項とされているにもかかわらず、本件労働協約締結に先立って組合大会における決議が行われていない(争いのない事実)。しかし、前記一3のとおり、労働協約の締結に際し、二〇年以上も組合大会が開催されたことはなく、職場会における意見聴取、代議員会の決議を行うという方法で労働協約の締結をしてきたという実態に照らせば、組合大会が開催されなかったからといって、本件労働協約が直ちに無効であるとするのは相当でない。ただ、右のように、組合大会で決議せず、代議員会の決議のみで労働協約の締結がなされてきたという実態は、組合大会を開催するまでもなく、代議員会の決議だけで、組合大会に代えることのできる程度に各組合員の意見が反映され、各組合員が代議員会に対し、労働協約締結の権限を委任していることを前提として是認されてきたものと解するべきである。したがって、少なくとも、労働協約の締結に関し、右のような前提を欠くとすれば、そのような労働協約には、規範的効力が発生しないと解するのが相当である。

本件についてこれをみると、前記一2(二)のとおり、五三歳以上の従業員を対象とする給与の改定について、平成八年四月二六日に各職場で一応職場会が開催されたことは認められるものの(なお、原告纐纈は、その本人尋問において、職場会は開催されていない旨供述するが、右供述部分は、乙一六、乙一七の一、二、乙一八ないし乙三五に照らし、採用できない。)、給与の減額といった労働条件の重要な部分に関する不利益を内容とする労働協約については、特に十分に各組合員の意見聴取を行う必要があるにもかかわらず、職場会は一回しか開催されておらず、十分な討議が行われたかどうか疑わしいし、具体的にどのような方法で各組合員の意見聴取が行われたのかも判然としない。さらに、本件労働協約は、五三歳以上の従業員に対してのみ不利益を及ぼすものであり、被告においては五〇歳以上の従業員が全体の約三五パーセントであるとすると(前記一2(一))、本件労働協約の対象者は、従業員全体からみれば少数である上、平成八年四月一日時点ですでに五三歳以上である者について、経過措置などは設けられておらず(乙一)、平成八年四月分の給与からいきなり最高五三歳当時の給与に比較して基本給21.7パーセントの減額になる(乙一六)という著しい不利益をもたらすものであることからすれば、少なくとも給与改定の対象者に対し、個別的な意見聴取を行うなどの手続が必要であるというべきであるが、このような手続が行われた形跡はない。

右のような、本件労働協約締結までの状況に照らせば、本件労働協約締結に先立つ平成八年四月二七日の代議員会決議は、各組合員の意見を反映し、各組合員が労働協約締結の権限を委任して行われたものということはできない。加えて、前記一1(一)、(二)の本件労働協約締結当時の被告の四四期及び四五期決算を含む経営状況、資産状況、被告において高齢者の給与が高額であった状況(前記一2(一))に照らすと、高齢者の給与見直し自体については、被告の経営判断が誤りであったということはできないものの、減額の幅が最高21.7パーセントにも達し、しかも経過措置なども設けられなかったことは、本件労働協約の内容の合理性に疑いを抱かせるものであるし、少なくとも本件労働協約に定めるほどの大幅な給与の減額の必要性は認めがたい。

右によれば、本件労働協約は、規範的効力がないというほかない。

2  ところで、被告は、原告纐纈及び同田崎が平成八年四月六日の賃金改定会議に出席していたこと、その席で原告纐纈は、高齢者の給与を減額するとの意見を述べたこと、原告らが職場会で反対意見を述べていないことなどを根拠に本件労働協約の有効性を主張するが、原告纐纈としては、賃金改定会議が開催された時点で高齢者の給与を減額することはやむをえないとの意見ではあったが、約二〇パーセントもの減額を容認していたわけではなく(原告纐纈本人)、また、その時点では、被告が示した給与の減額率は提案にすぎなかったのであるし(なお、被告の取締役の一人である小倉の陳述書(乙一一)には、被告の示した給与の減額率で決定した旨の記載があるが、乙一二、乙一六、乙一七の一、二、乙一八ないし乙三五に照らし、右記載は採用できない。)、少なくとも原告纐纈は平成八年四月二六日の職場会に出席していないこと(原告纐纈本人)、すでに述べたように、給与減額の対象者に対し個別的な意見聴取が行われていないことなどからすれば、被告主張の事実をもってしても、本件労働協約の規範的効力を認めることはできないというべきである。

3  したがって、原告ら及び亡森戸が労働組合の組合員であるか否かを問わず、原告らに本件労働協約を適用することはできないものといわざるをえない。

三  本件給与減額措置について

1  前記一4(一)、(二)のとおり、本件給与減額措置に関し、被告は、全従業員に対する説明会及び無記名アンケートを実施しているが、労働組合は賃下げであることを理由に労働協約の締結を拒否し、個別的な契約として欲しいと申入れただけでなく、職場会において反対意見が多数を占めたことから、平成八年一二月三日、被告に対し、再考を求めたが、被告は、再考を拒否し、本件給与の減額を実施したのである。このことからすると、本件給与減額措置に関しては、労働組合の同意があったものといえないことは明らかであり(なお、無記名アンケートは、給与の見直し、雇用調整について意見を問うもの(乙五)で、右アンケートの結果、一一八名の従業員が給与の見直しに賛成ないし概ね賛成した(前記一4(一))からといって、その時点では、被告から給与減額の具体的な規模及び金額について明示されていなかったことからして、被告が示した給与の見直し案に従業員が賛成したということはできないのは当然である。)、そうだとすれば、給与は労働条件の中でも最も重要な事項であることに照らし、被告としては、給与が減額される各従業員から個別的に同意を得なければ、給与の減額は行えないというべきである。

2  この点に関し、被告は、平成八年一二月六日に給与を支給した際、給料袋に減額後の給与を明示し、意見があれば被告に対し申出て欲しい旨記載した通知書(乙二)を同封し、その後原告ら及び亡森戸から異議を述べられたことはない事実をもって、原告ら及び亡森戸は本件給与減額措置に同意していた旨主張する。

しかし、本件給与減額措置は、全従業員が対象であったとはいえ、全従業員の給与を一律に減額するというものではなく、結果的に給与が減額されたのは従業員の過半数である一四二名であり、その減額幅も能力や過去の考課査定を勘案することになっていたことから一律ではなく、しかも最高で八万円も減額された従業員もいたこと(前記一4(一))などからすれば、事前に当該従業員に対し、個別的にそれぞれの給与減額の理由を説明した上、同意を得なければならないというべきであるところ、被告はそのようなことをしていないし、定年退職をした亡森戸、原告山井利江、同中村カツを除いて、原告らは平成八年一二月中に被告を退職したこと(争いのない事実)、その理由には平成八年四月及び一二月の二回の給与の減額によって生計の維持が困難になったこと(原告纐纈本人)があったこと、そして、原告ら及び亡森戸は本件訴訟を提起したことなどの事実に照らせば、原告ら及び亡森戸が異議を述べなかったことをもって、原告ら及び亡森戸が本件給与減額措置に同意したものということはできない。

3  したがって、本件給与減額措置は無効であるというほかない。

四  右のとおり、原告ら及び亡森戸には本件労働協約、本件給与減額措置は適用されないこととなる。

1  原告ら及び亡森戸の給与差額は、別表(二)1ないし13の(A)の差額欄記載のとおりとなる(本件労働協約及び本件給与減額措置の前後の基本給月額について、当事者間に争いはない。)。

賞与の支給額は、賞与・給与規程に従って決定されるものであるが(乙三)、基本給を基礎として算定されることに照らし、賞与支給時に支給された基本給と支給されるべき基本給の比例配分計算により、支給されるべき賞与を計算するのが相当であるところ、右算定方法によれば、原告田崎を除く原告ら及び亡森戸の退職までの支給されるべき賞与の額は、別表(二)1、2、4ないし13の(B)の要支給額欄記載のとおりであり、賞与の差額は同(E)の賞与差額欄記載のとおりとなる。

原告田崎を除く原告ら及び亡森戸の退職金は、別表(三)記載の退職金支給規定によるところ(弁論の全趣旨)、右に従って算定すると、別表(二)1、2、4ないし13の(C)の退職金欄記載のとおりとなり、退職金の差額は同(E)の退職金差額欄記載のとおりとなる。

原告田崎を除く原告ら及び亡森戸は、退職後別表(二)1、2、4ないし13(D)の支給済欄記載のとおり、雇用保険を受領したところ(甲一の一ないし一二)、雇用保険は、給与の総額が算定の基礎となる(甲二)ため、本件労働協約、本件給与減額措置により、原告田崎を除く原告ら及び亡森戸は、別表(二)1、2、4ないし13の(D)の差額欄記載の金額を受領することができなかった。そして、甲一一によれば、原告田崎を除く原告及び亡森戸らは、今後も右差額について雇用保険として受領することはできないことが認められ、被告が規範的効力の発生しない本件労働協約、無効な本件給与減額措置を適用した結果被った損害であるから、被告には不法行為に基づく損害賠償義務があるというべきである。

なお、原告田崎を除く原告ら及び亡森戸が被告に対して支払を求める右雇用保険の差額金は、賃金としての性格を有するものではなく、不法行為に基づく損害賠償金であるから、遅延損害金は商法ではなく、民法所定の年五分の限度で発生するというべきである。

2  亡森戸は、平成一一年三月一日に死亡し、妻である亡森戸訴訟承継人原告森戸信子、子である亡森戸訴訟承継人原告森戸雅男、同半田みゆきが相続した(弁論の全趣旨)。

したがって、亡森戸訴訟承継人原告森戸信子、同森戸雅男及び同半田みゆきは、その法定相続分各二分の一、四分の一、四分の一の割合で、亡森戸の被告に対する差額給与、差額賞与、差額退職金及び差額雇用保険金請求権を相続する。

五  以上の次第で、原告ら及び亡森戸貞男訴訟承継人原告らの被告に対する給与差額及び賞与差額並びにこれらに対する退職の日の翌日から支払済みまで賃金の支払いの確保等に関する法律所定の年一割四分六厘の割合による遅延損害金の支払請求、原告田崎を除く原告ら及び亡森戸の被告に対する退職金差額及び退職金支給日の翌日から支払済みまで商法所定の年六分の割合による遅延損害金、雇用保険差額金及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成一〇年三月四日から支払済みまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払請求の限度で認容し、原告田崎を除く原告ら及び亡森戸訴訟承継人原告らのその余の請求は棄却することとし、訴訟費用について民事訴訟法六一条、六四条、仮執行宣言について同法二五九条一項をそれぞれ適用して主文のとおり判決する。

(裁判官松井千鶴子)

別表(一)〜(五)<省略>

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